上質で味わい深い胸くそ悪さ / 夜曲〜ノクターン〜

 

夜曲〜ノクターン〜、観劇しました。

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1月に発表されてから、ずっと楽しみにしていた本作。キャスト変更はあったものの、感性に絶大な信頼を寄せている中屋敷さん演出のとつごが見られることに期待大でした。もちろん、いつか塚田くんバージョンの再演待ってます!
特に中屋敷さんと五関くんの組み合わせはほんとにほんとに大好きで… 数年前奇子に狂わされ、そして今も窖の奥底に心を囚われている身としては、待ち望んだタッグなのでした。

 

感想

マチソワ、2回観劇したのですが、正直1回目は「わからない… なんだったんだ…」が正直な感想。断片的に理解できるテーマや心情はあるのだけど、腑に落ちない感覚というか、結局何が起こって何が言いたかったんだ…とモヤモヤしてしまったのは事実。私の理解力不足もあるけれど、思えば、松竹座という劇場にエンタメを求めすぎていたのかもな、と。エンタメを見る気分で言ったら演劇ど真ん中を突きつけられて、少しめんくらってしまった部分もあるのかもしれない。
そんなモヤっとした気持ちでソワレを見たのですが、驚いたことに2回目がとっても面白かった!人物相関図がわかって頭が整理されたのと、演劇を読み解くんだという思考に切り替えられたからだと思う。今まで1回目と2回目の印象がまるっと変わるような体験をしてこなかったので、自分でもこんなこともあるんだなあと勉強になりました。

私は演劇を見るときに、一人の登場人物に感情移入をして追っていくことが多いのだけど、今作は登場人物を一線引いて観察していたように思う。
印象に残ったのはツトムの夢みがちな薄情さ。勝手に十五を心のヒーローにし、ヒーローに認められた自分もある種の主人公だとイキがる。一方で理想のヒーロー像とは違う動きを見た後は、それは解釈違いと熱が冷める。(令和のアイドルオタクと一緒!)結局自分の意思が無
く、いつも蚊帳の外でぽつんと孤独になってしまう他力本願な人柄は軽蔑してしまう。だけどこの純粋な浅ましさって誰しも持っている部分だと思うと、無下にはできないというか… 憎めないけど救いたくないというか… 
かと言って、700年前の人たちの融通の効かない真っ直ぐさも危うくて見ていられない。そういう時代だとはわかるけど、らしさとか立場ってそんなに大事にしなきゃいけないんですかねえ、と昔の時代設定を見るといつも思う。そうなんだけどさ。

だれも悪くないし、だれも正義のヒーローじゃない。結局誰一人として幸せになってないから胸くそ悪いんだけど、なぜかもう一回見たいし心の隅にいつも置いておきたくなるような、上質さと味わい深さがあると思いました。私は中屋敷さんの描くクソデカ感情と人間の嫌なところの表現が好きなんだと実感。

 

キャスト

抜粋ですみません!

ツトム / 五関晃一

五関くんの発声が好きだ〜。セリフとストーリーテラーの部分の声色の使い分けが見事でした。時たまあるここぞというセリフも、会場の奥までスパーンッと突き抜けていくので気持ちが良い。五関くんの舞台芝居、もっともっと見たい。
ツトム、初演ではもっと陰キャだったようで。五関くんのツトムは陰の部分もありつつ、持っているアイドル力が故に、「ほんとに物語の主人公になれちゃうかも!」という希望も見えるのが面白かったです。だからこそ、最後に蚊帳の外を実感して虚無の顔で惨劇を眺めているシーンとの対比が鮮やか。

 

十五 / 戸塚祥太

1週間で仕上げたとは思えない完成度。大変だっただろうけど、とても楽しいんだな〜とわかるエネルギッシュさでした。
十五、ハマり役だなあと思いました。目的のために手段を選ばず邁進するところ、戸塚くんにもあるんじゃないかなあと。でも結局情を捨てきれないところも戸塚くんらしい人間味を感じられて好きでした。塚田くんの十五はどうだったのかな。もっと冷酷なキャラクターになるような気がするな。
カーテンコール、戸塚五関でセンターを割って並んでいる姿が新鮮だった。組み合わせとしてはあまりない二人だけど、同じグループならではの空気感とかセリフのリズム感が感じられて面白かった。

 

 


サヨ / 兒玉遥

48グループど真ん中世代なので、はるっぴがいる!!と楽しみにしてました。ミステリアスで愛らしい謎の美少女そのもの。お芝居のイメージがあんまりなかったけど、お上手で驚いた。圧倒的、華。
私が見た回で、五関くんがマッチをばら撒いてしまうハプニングがあって。そのときに「なにやってんのよ、も〜!」と上手くセリフを繋ぎながら手早くマッチを回収して、本筋に支障が無いように戻していた姿が圧巻でした。あの瞬間、誰よりも頼りになる存在だった。

 


黒百合 / 河合雪之丞

今作の要。黒百合の圧倒的キャラクターで作品が成り立っていると言っても過言ではない。黒百合の姿は同じなのに、女役と男役を瞬時に演じ分ける技術に惚れ惚れしました。ふつうに見てしまっているけど、高度なことをやっていらっしゃることを忘れちゃいけない… 今作の真の主人公は黒百合だと思うくらい、登場人物みんなにクソデカ感情矢印を向け、向けられしていたのが印象的。一番好きなキャラクター。

 

 

余談〜心斎橋ぶらり旅〜

久しぶりに大阪に遠征したので、その思い出も載せちゃう。ぬいとアクスタを忘れてくる大失態をおかしたものの、心斎橋ぶらりして楽しみました。

 

夜パフェ専門店 パフェテリア パル

ホテルの近くにあり、偶然見つけた夜パフェ屋さん。夜ご飯はちょい飲みにして、芸術作品を楽しみました。20時過ぎに伺ったら15組待ちくらいだったけど、整理券とったらその場を離れても良いシステムだったのでホテルでのんびりして待ってた。入店まで1時間もかからなかったかな?並んでるわりには開店が早かった。

 

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今回注文したのは感謝のガーベラとスコッチウイスキーハイボール。木苺とかフランボワーズの甘酸っぱさがおいしかった!特別甘党でもないし、生クリームがあんまり得意ではないので、こういう創作系のパフェが嬉しい。

 

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純喫茶アメリカン

友達と「モーニングどこいく?」の会話からインスタ検索して行ってみた喫茶店。行ってから星がモチーフだと知りました… 
10時15分ごろに行ったらギリギリ1巡目で入店できてラッキー。わりと提供もゆっくりなので時間に余裕のない人は厳しいかも。

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紅茶とサンドイッチ、ホットケーキを注文。ホットケーキの素朴な甘さがじんわり染みた。純喫茶ならではの重厚感や、席どうしの距離の近さがよかった。ブームだからというわけではないけれど、純喫茶巡りしたいなあと思わせる素敵な空間でした。

 

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551HORAI 心斎橋大丸店
関西に来たらやっぱりこれだよね〜!ってことで551の豚まん。焼きそばも食べたかったけどお腹いっぱいで断念… 最近何度か関西に来ていたものの、タイミングが合わずに食べられていなかったので念願の、でした。もちもちふかふかの生地がおいしすぎる〜〜 

 

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演目も満足、観光も満足の充実した1泊2日大阪遠征でした! とつご、素敵な機会を作ってくれてありがとう〜〜